2017 年 60 巻 4 号 p. 201-209
要旨: 補聴器を個々の難聴者に適合するように設定していく方法について概説した。 大きく比較選択法と規定選択法という二つの手順が存在するが通常の臨床では両者が併用されている。 規定選択法はハーフゲインルールに始まりその後補聴器性能の進歩に伴って数多くの方法が発表されてきたが, 現在では NAL-NL 法と DSL 法が広く用いられている。 両方法の補聴効果を比較した研究の結果では語音明瞭度の成績では差はみられていないが DSL 処方の方が利得は大きい。 これらの規定選択法で示されるターゲットは基本的には最終的な設定への指標と考えるべきで新規の装用者ではそれより小さな利得から徐々に上げていく方法が提案されている。 欧米で開発されたこれらの処方ターゲットが英語とは音響的特徴が異なる日本語においても妥当であるかどうかについては今後検討する必要があると思われる。