AUDIOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1883-7301
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原著
3 歳児健診における聴覚スクリーニング
―自動 ABR 実用性の検討―
白根 美帆中島 崇博山本 麻代松田 悠佑下荒 翔研安永 太郎松田 紗季東野 哲也
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2019 年 62 巻 1 号 p. 46-51

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抄録

要旨: 3歳児健診の受診児134名に対して, 自動 ABR 検査機器 (MAICO 社製 MB11 BERAphone®) を用いた聴覚検診を実施し, 難聴スクリーニングとしての有効性や現行の聴覚検診について検討した。片耳の検査時間は約 5~6分で, 新生児聴覚スクリーニングと比較すると時間を要したが, 134名のうち120名 (89.5%) は両耳測定可能で, 覚醒下の3歳児にも応用できることが分かった。検査結果は, 両側 pass が100名, 片側 refer が13名, 両側 refer が7名であった。 両側 refer により医療機関を受診した4名は両耳に中耳炎を認めた。正答数 4語以下が要精密となる厚生労働省方式の「ささやき声検査」と比較した結果, 片側 refer 児の平均正答数は5.4語で, 一側性難聴の検出は現行の聴覚検診だけでは難しいことが確認できた。

 乳幼児健診は, 新生児聴覚スクリーニングから就学時健診までの幼児期の難聴スクリーニングとしても重要な機会である。聴覚検査機器による検診の試みは, 検診の精度を高めるとともに, 現行の検診精度を検証する役割も期待でき, 母子保健事業の関係機関や担当者の意識向上にも寄与するものと考える。

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© 2019 日本聴覚医学会
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