AUDIOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1883-7301
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原著
新生児聴覚スクリーニングをパス後に発見された難聴児48例の検討
―秋田県16年間の経験から―
水野 知美中澤 操佐藤 輝幸高橋 辰山田 武千代
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2019 年 62 巻 1 号 p. 52-58

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抄録

要旨: 秋田県で新生児聴覚スクリーニング (Newborn hearing screening: 以下 NHS と略) が開始されてから17年が経過し, 2012年からは受検率が94%を超えている。 NHS システムを構築する中で, NHS 後も聴こえに関心を持ち続けるための啓発や, 関係機関との連携ができ, NHS 後に難聴児が発見された場合の対応も確立されたと考えられる。 今回の調査で, 聴力型により NHS では発見できない難聴児がいること。 遅発性や進行性の難聴児がかなりの数存在することが示唆され, NHS パス後も引き続き聴覚に気を配り, 関係機関との連携を強化していく必要性が示唆された。 今回画像診断が不完全な症例が含まれたことや, 今後遺伝子診断をする例の増加が予測されること, 先天性サイトメガロウィルス感染症のフォローアップ例が増えている事などから, 今後は遅発性及び進行性難聴の原因について明確にしていく必要性があると考えた。

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© 2019 日本聴覚医学会
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