AUDIOLOGY JAPAN
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原著
長期経過観察を行った Alport 症候群例
松井 祐興伊藤 吏窪田 俊憲新川 智佳子千葉 寛之米澤 裕美欠畑 誠治
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2019 年 62 巻 4 号 p. 299-306

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抄録

要旨: Alport 症候群は, 腎炎, 眼症状に加えて, 緩徐に進行する両側性感音難聴をきたす症候群であるが, 聴力経過や個々の症例について検討した報告は少ない。そこで, 聴力経過と病歴および補聴器装用の有無について検討した。今回, Alport 症候群において, 耳鼻咽喉科で長期に経過観察した症例は男性3例であった。観察期間は, 8年 (3-11歳), 13年 (4-17歳), 7年 (11-18歳) であった。2例は比較的低年齢から難聴が発症し, 難聴の進行を比較的早い時期に認めた。1例は, Alport症候群の診断が早期につかなかったため, 耳鼻咽喉科で聴力検査施行時にはすでに難聴を認めた症例であった。3例のいずれも経時的に聴力が緩徐に低下した症例であったが, いずれも本人が補聴の必要性をそれほど感じなかったため, 1例では補聴器を導入するも授業中のみの使用であり, 2例では補聴器の導入に至っていなかった。

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© 2019 日本聴覚医学会
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