2021 年 64 巻 4 号 p. 322-327
要旨: 一側性難聴者を対象にして, 12個のスピーカからホワイトノイズを提示し, ①裸耳, ②裸耳で学習した場合, ③CROS 補聴器装用, ④CROS 補聴器装用で学習した場合の計4条件で, 音源を定位させる実験を行った。一側性難聴者は両側健聴者より音源定位が有意に困難であった。良聴耳側は非良聴耳側に比べて有意に良く, 前後では差はなかった。一側性難聴者に CROS 補聴器を装用することによって, 音源定位はさらに困難となった。 CROS 補聴器からの出力音を分析した結果, 原音に遅れて, 装用者が「機械音」と表現する補聴器経由音 (増幅音) が聞こえることで, 音源定位が向上する可能性はある。