AUDIOLOGY JAPAN
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内側型高位頸静脈球と感音難聴
とくに中高音域急墜型一側性感音難聴症例の検討
東野 哲也河野 浩万狩野 季代牛迫 泰明森満 保
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1989 年 32 巻 4 号 p. 223-230

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抄録

側頭骨断層撮影やCT検査の普及に伴い, 錘体内側に突出する頸静脈窩を容易に診断できるようになった。 この内側型高位頸静脈球の多くは一側性であるが, その頻度は決して稀ではない。 今回, 患側に内側型高位頸静脈球を伴った感音難聴症例の純音オージオグラムを検討した結果, 種々の程度の中高音域障害とくに1000Hzと2000Hzの間で低下する中高音域急墜型の聴力像を示す例を多く認めた。 そこで中高音域急墜型一側性感音難聴症例に注目してX線学的検査を施行したところ, 難聴側に一致した側に高率に内側型高位頸静脈球が確認された。 これらのことより中高音域急墜型オージオグラムが内側型高位頸静脈球を素因とする内耳障害 (仮説) の一つの典型的な聴力像であることが推察された。 内側型高位頸静脈球を伴う中高音域急墜型一側性感音難聴症例に性差, 左右差は認められなかったが, 小児期発症の群と成人以後発症の群に分けられた。 前者の自覚症状は軽微であるが後者は難聴, 耳鳴の訴えが強く反復性めまいを伴う例もみられた。 自記オージオメトリーでその多くはJerger II型を示し内耳性難聴と考えられた。

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