1990 年 33 巻 4 号 p. 295-302
最初メニエール病と診断されたが, その後の臨床経過から椎骨脳底動脈循環不全 (VBI) によるメニエール病様症状と判明した2症例を報告した。 症例1は47歳の女性で, 椎骨動脈造影 (VAG) では異常は指摘できなかったが, 患側の三叉神経障害を認めた。 また, 純音聴力検査及び蝸牛マイクロフォン電位 (CM) 検出域値の著明な改善が見られ, VBIによる内耳血管条のanoxiaが原因と考えた。 症例2は53歳の男性で, 患側半身の知覚鈍麻, VAGにて健側の椎骨動脈の高度狭窄を認めた。 また, 蝸電図検査では, 純音聴力域値よりも良好なCM検出域値, 幅の広いAPの所見から, VBIによる蝸牛神経障害と考えた。