AUDIOLOGY JAPAN
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原田病に対する神経耳科学的検討
木村 寛麻生 伸渡辺 行雄
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1991 年 34 巻 2 号 p. 117-121

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抄録

原田病患者11例22耳に対して神経耳科学的検討を行った。 11例中9例が蝸牛または前庭症状を訴えた。 22耳中8耳に平均20dBから40dBまでの軽度難聴, 5耳に平均40dBから60dBまでの中等度難聴を認めた。 聴力型は, 高音障害型を示すものが多かった。 内耳機能検査を施行した2例とも, 補充現象陽性を示した。 蝸電図を施行した5例全例にSP/APの異常増大は認めなかった。 1例にグリセロール・テストを施行し, 両耳とも陰性であった。 平衡機能検査を施行した6例全例に軽度の前庭障害を認めた。 対象例11例すべてに何らかの聴覚・平衡機能の異常所見を認めた。 眼症状, 髄液所見と内耳障害の程度は必ずしも対応しなかった。 今回の検査結果から原田病は, 高頻度に比較的軽度の内耳障害を併発するものと推察された。 さらに, 本疾患の内耳障害について文献的に考察した。

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