AUDIOLOGY JAPAN
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免疫疾患が存在する両側感音難聴
多湖 千晃永井 裕之藤浦 一喜柳田 則之
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1991 年 34 巻 2 号 p. 122-127

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抄録

原因不明の感音難聴の発症機序の一つとして近年, 内耳における自己免疫現象の実験的研究が進められている。 現在, 厚生省特定疾患「急性高度難聴」調査研究班の対象疾患の一つとして「免疫異常に関連する急性高度難聴」がある。 今回既存の自己免疫疾患に合併した両側感音難聴症例11例の検討を行い以下の結果を得た。 11例の内訳は, 慢性関節リウマチ3例, 再発性多発性軟骨炎2例, ベーチェット病1例, 原田氏病3例, 大動脈炎症候群1例, MCTD 1例であった。 1) 各々の症例において聴力像に一定の傾向は, 認められなかった。 2) しかし各症例の両耳の聴力は類似しており, 全身性の障害の部分症として捉えられる可能性が示唆された。 3) ステロイドに対する反応性は, 各症例ごとに異なっていたが血管炎を主体とする疾患にステロイド反応性が良い傾向にあった。 4) 従来の自己免疫性感音難聴, ステロイド依存性感音難聴とは共通する部分はあるが相違点もみられた。

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© 日本聴覚医学会
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