AUDIOLOGY JAPAN
Online ISSN : 1883-7301
Print ISSN : 0303-8106
ISSN-L : 0303-8106
全植込型人工中耳用マイクロホン 鼓室埋め込み方式の術中評価
暁 清文平田 義成
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 35 巻 6 号 p. 627-631

詳細
抄録

生体内に埋め込み可能なマイクロホンを検討する目的で, 段階的鼓室形成術の第二回目手術時に, 鼓室内に一時的に試作マイクロホンを挿入し, その周波数応答や感度について検討した。 その結果, 外耳道音圧を基準とした時の鼓室音圧は, 5.5kHzまでの帯域で20-30dB程度低く, 高音域ではさらに低かった。 鼓室に埋め込む方式は, 1) 生体反応を受けて音響特性が変化する可能性がある, 2) 外耳道皮下への埋め込みと比べ感度が低い, 3) 鼓室内の生体雑音を拾う, 4) 埋め込む空間が狭い, といった問題点がある。 しかし, 外部へ露出しにくい, 外耳に触れても大きな音がしない, といった長所もあり, 全植込型の人工中耳や人工内耳を設計する際には考慮すべき方式と考える。

著者関連情報
© 日本聴覚医学会
次の記事
feedback
Top