AUDIOLOGY JAPAN
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モルモットのDPOAEに対する中耳動特性の影響
大山 健二佐藤 利徳和田 仁高坂 知節
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1992 年 35 巻 6 号 p. 666-674

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抄録

Distortion-product otoacoustic emissions (DPOAE) の測定をモルモットで行い, f2=0.5-16kHzでのdistortion-product (DP) audiogramの正常像を検討した。 さらにbullaの開放を主とする中耳環境の変化がDP audiogramに及ぼす影響を観察し, 以下の結論を得た。
1) 正常のモルモットではbullaの操作を行わない場合にはf2=2-16kHzの広い周波数範囲にわたって, 十分なS/N比でDPOAEが検出されたが, これよりも低周波数域では検出が困難であった。
2) DP audiogramはbullaの開放によって大きく変化し, 一般に約2kHzよりも低域ではDPOAEレベルが著明に上昇し, 2-6kHzでは逆に低下した。 この効果は可逆的なもので, middle ear analyser (MEA) による中耳動特性の測定結果から中耳共振周波数の変化によって引き起こされるものと考えられた。
3) DPOAEの測定値は, 中耳動特性の変化によって大きな影響を受けることを認識する必要がある。

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