AUDIOLOGY JAPAN
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補聴器適応患者における実耳挿入利得と子音明瞭度の関係について
冨山 道夫
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1993 年 36 巻 4 号 p. 276-281

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抄録

補聴器を日常生活で常用しているレクルートメント現象陽性の感音難聴症例を対象として, 実耳挿入利得と子音明瞭度の関係を検討した。 対象を60歳以上の高齢者に限定したため, 1回の検査の負担が大きい57式語表は用いず67式語表を2回施行しその結果から子音明瞭度を検討した。 また今回は裸耳でもある程度は聞き取れる語音を補聴器装用によりどの程度聞き取りが良くなるかを検討する目的で, 検査語音の基準音を測定耳の平均聴力+10dBに設定した。 その結果有声子音群の明瞭度の改善には1500Hzの実耳挿入利得, 無声子音群の明瞭度の改善には3000Hz, 4000Hzの実耳挿入利得が必要であることを示唆する結果を得た。 補聴器装用に伴う有声子音群の明瞭度の改善は語音や症例により異なった傾向を示すものと考えた。

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