AUDIOLOGY JAPAN
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Nucleus 22人工内耳装用児による母音・子音の音響的変化について 失聴直後から術後18ヵ月迄の7年間の検討
吉川 智子大山 健二永渕 正昭
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1999 年 42 巻 6 号 p. 689-696

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抄録

Nucleus 22人工内耳装用の1名の児童を対象として, 失聴直後から術後18ヵ月までの7年間の構音について, 聴覚的・音響的分析を行った。 対象児は4歳時に髄膜炎により失聴し, 9歳時に20本全ての電極を挿入した。 結果は, 人工内耳装用により, 構音はF0値とそのゆらぎ幅のみが改善され, 聴覚的分析, F1-F2フォルマントパターン, F2遷移率およびVOT値は改善されなかった。 以上の結果から, 1) F0は基本的なレベルであるために, 改善されやすかったと考えられた。 2) 構音の問題としては, 母音の中性化, フォルマント周波数の近接があげられ, 音響分析の結果から舌の挙上や前後運動などの構音器官の運動制御, 喉頭調節などに留意した指導がのぞまれた。 3) 術時年齢や失聴後の聴覚活用及び構音指導の有無が, 構音の改善に関与すると推察できた。 4) 失聴後のすみやかな聴覚補償により, 既に獲得された構音の損失を最小限にする必要がある。

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