AUDIOLOGY JAPAN
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突発性難聴の予後 ロジスティック回帰分析による検討
原田 博文白石 君男山野 貴史力丸 文秀加藤 寿彦
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2000 年 43 巻 2 号 p. 93-97

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抄録

われわれは多重ロジスティック回帰分析を用いて, 突発性難聴の予後にどの因子が最も関係しているかを検討した。 研究対象は突発性難聴症例177名 (177耳) を用いた。 突発性難聴の予後は治癒が35名, 著明回復が54名, 回復が58名, 不変が30名であった。 今回検討した因子は年齢, 治療開始までの日数, 初診時平均聴力 (250Hzから4000Hzまでの5周波数), 性別, 患側, メマイの有無, 治療 (低分子デキストラン, 副腎皮質ホルモン, ビタミンB12, 星状神経節ブロック), 入院外来別, 喫煙の有無である。 最初の分析は不変群と回復群で行った。 予後と関連のあった因子は治療開始までの日数であった。 次の分析は不変群と著明回復群で行った。 治療開始までの日数, 年齢, 前庭症状, 初診時平均聴力が予後と有意な関連があった。 最後に不変群と治癒群で分析を行ったところ, 治療開始までの日数, 年齢, 前庭症状, 星状神経節ブロックの有無が予後と強い関連を認めた。 他の因子は突発性難聴の予後と有意な関連はなかった。

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