AUDIOLOGY JAPAN
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鼓膜正常な伝音難聴耳における連続周波数ティンパノメトリの有用性
植田 広海内田 育恵朝日 清光
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2001 年 44 巻 6 号 p. 578-583

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抄録

鼓膜正常な伝音難聴耳 (アブミ骨固着耳76耳, 耳小骨離断耳12耳) と正常耳36耳を対象に連続周波数ティンパノメトリを施行し, その有用性を検討した。 スタティック・コンプライアンスを指標にした場合, 正常耳群 (平均0.60±0.22cc) と耳小骨離断耳群 (1.06±0.45cc) 及び耳小骨離断耳群とアブミ骨固着耳群 (0.49±0.44cc) との間に有意差を認めたが, 正常耳群とアブミ骨固着耳群との間には有意差を認めなかった。 一方, 共振周波数を指標にした場合正常耳群 (951.7±194.1Hz), 耳小骨離断耳群 (675.8±132.8Hz), アブミ骨固着耳群 (1274.9±290.0Hz) のすべての群間に有意差を認め共振周波数を指標した方がより有用性が高いと思われた。 しかしながら, 診断に迷う例もあり画像診断を含めた総合的な判断が必要であると思われた。 またアブミ骨固着耳群において共振周波数と術前気骨導差との間に, 2kHz, 4kHzにおいてゆるやかな負の相関を認めた。

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