抄録
聴覚生理の研究にはモルモットが多く用いられており, 耳音響放射やABRなどの計測が盛んに行われている。 これら中耳伝音系を介して聴覚に刺激を与える計測では, 得られた結果に中耳伝音特性の影響が含まれていることが予想される。 しかし, モルモット中耳の伝音特性変化が生じるメカニズムは, 十分に明らかとなってはいない。 そこで本研究では, 有限要素法によりモルモット中耳のモデル化を行い, その振動様式および伝音特性を解析し, モルモットの伝音特性がどの様に形成されるのかを検討した。 その結果, モルモット中耳は, 1kHz-5kHzの範囲で, 耳小骨振動モードを緩やかに変化させることで, フラットで高い伝音効率を維持していることが明らかとなった。