AYAがんの医療と支援
Online ISSN : 2435-9246
総説
AYA世代の小児がん患者・サバイバーのニーズと課題
樋口 明子小澤 美和坂水 愛檜垣 希実恩田 聡美片山 麻子堀部 敬三
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2021 年 1 巻 1 号 p. 16-22

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抄録

 小児がんは小児期に発症する悪性腫瘍の総称であり、成長発達の過渡期での発症・闘病となることからも、医療面だけではなく心理社会的な側面においても特有の課題があることは広く知られている。特にAYA世代の小児がん患者・サバイバーは個別性が高く、一言でAYA世代の小児がん患者・サバイバーといっても、置かれている状況だけではなく、その年齢によっても抱える課題は様々である。治療法や治療を受ける施設の選択、移行期医療などの医療面での課題、医療者との関わり方、患者・経験者の経済的負担、親子の関係、がん患者としての時間・空間とは違う社会生活の過ごし方、治療歴や晩期合併症のリスクに応じた健康管理の理解や方法、就学、就労、友人との関係、恋愛・結婚などのライフイベントの対応など、当会に寄せられている相談からの実態を見ても、個別性の高さが分かる。また、平成27-29年度厚生労働科学研究費補助金(がん対策推進総合研究事業)「総合的な思春期・若年成人(AYA)世代のがん対策のあり方に関する研究」 班(研究代表者 堀部敬三)で実施した患者家族調査からも、年齢によって変化するニーズが明らかになっている。しかしながら、対応する制度は十分とは言えず、情報量も発信方法も発展途上と言わざるを得ない。今後も引き続き、国や自治体、医療機関や関連機関なども含めた社会が一丸となり、年齢を超えた横断的な対策が講じられていくことを期待したい。

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© 2021 一般社団法人 AYAがんの医療と支援のあり方研究会
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