AYAがんの医療と支援
Online ISSN : 2435-9246
総説
腫瘍循環器学(Onco-Cardiology)における晩期心毒性とその対応
向井 幹夫
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 2 巻 1 号 p. 16-21

詳細
抄録

 がん治療の進歩によりがん症例の予後が改善する一方で、がんサバイバーが急増している。しかしながら、がんサバイバーに対してがん治療終了後のケアは決して十分とは言えず、数年から10年以上経過して出現する晩期合併症に対するケアには多くの課題を有している。なかでも晩期心毒性は発症すると重篤な臨床経過をたどる事が多くがんサバイバーの予後に大きく影響すると考えられているが、晩期心毒性に対する長期間のモニタリングなど対応が困難な点が少なくない。近年、米国において晩期心毒性に対する診療ガイドラインがエビデンスに基づき作成された。そこでは、がん治療開始前より晩期合併症の発症予防に関する積極的な対応が開始された。そして、本邦では小児・AYA世代がんサバイバーを中心とした長期フォローアップ体制の確立、晩期心毒性の病態解明、そしてフォローアップに必要ながんサバイバードックの構築などの新しいリソースも含めた検討が始まっている。

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 AYAがんの医療と支援のあり方研究会
前の記事 次の記事
feedback
Top