2013 年 3 巻 1 号 p. 56-60
糖質関連酵素を広く産業利用するにあたり,酵素の基質特異性ならびに反応特性を改善する目的で行った基礎的な研究について,さらに酵素を工業スケールで生産する技術を確立して有用な機能性糖質生産を実現した一連の成果について述べる。α-アミラーゼの触媒活性ドメインとサイクロデキストリングルカノトランスフェラーゼの機能ドメインとを立体障害を起こさせずに融合し,両ドメインの機能を発揮する新しい酵素を創出した。酵素の構造と機能の相関を明らかにした一例である。また,ホスホリラーゼのカップリング反応を応用して,スクロースを原料に,純粋なアミロースを酵素合成する反応系を開発し,必要な酵素を工業スケールで製造することにより酵素合成アミロースを上市した。さらに数種類の酵素を組み合わせることにより,β-グルカンをα-グルカンに効率よく変換する酵素反応システムを確立した。