日本ベントス研究会連絡誌
Online ISSN : 1883-888X
コメツキガニとチゴガニの底質選好性と摂飼活動
和田 恵次
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1982 巻 (1982) 23 号 p. 14-26

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抄録

1. 和歌川河口域において、コメツキガニとチゴガニの生息地の底質の粒度を、表層1mmと深さ約10cmの部分に分けて調べたところ、.表層砂の0.063mm以下ないしは0.125mm以下の微細粒子の割合が、コメツキガニ生息地よりもチゴガニ生息地の方が高く、その違いは粒度の他の指標よりも明瞭であった。2. 砂団子の粒径分布は、両種とも表層砂のそれとほぼ同じであったが、チゴガニでは細かい粒子の割合が表層砂よりも多少高くなる傾向を示した。これは、表層砂を口器に運ぶ段階で細かい粒子がより多く取り込まれる機構が存在していることを示唆する。3. 腸内砂粒は、両種ともほとんど0.063mm以下の粒子で占められていたが、これより大きい粒子の割合はチゴガニの方が高かった。これは、口器中での微細粒子の選別能力がチゴガニの方がコメツキガニよりも低いことを示している。4. コメツキガニをチゴガニ生息地に移しても、摂餌は盛んに行なわれていたが、コメツキガニ生息地に移されたチゴガニでは摂餌活動の低下がみられた。これは、チゴガニでは、微細粒子の選別能力が低いため、表層砂中の微細粒子含最の少ない底質では摂餌が容易でないことを示唆している。以上のことから、表層砂中の微細粒子の占める割合は、両種の摂餌機構の違いと密接に結び付いた指標と考えられる。

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