2014 年 22 巻 p. 203-211
ウェアラブルセンサによる日常生活中の継続的肺気量推定は, 肺疾患の早期発見に向けて重要である. 衣類型ウェアラブルセンサの多くは肺気量を上体周囲長の変動から推定する. しかし, 利用者に負担をかけない単一姿勢によるキャリブレーションを想定すると, 姿勢変動による周囲長の変化に影響されて推定精度が低下する. そこで各姿勢時の上体周囲長をキャリブレーション姿勢時の上体周囲長相当値へ補正することによる推定精度の向上手法を検討した. 光学式モーションキャプチャを用いて, 立位時と座位, 立位前屈時 (30度, 60度, 90度) の上体周囲長変動を分析した結果, 立位前屈の補正に対して線形補正が有効である事が分かった. 4名の被験者において, 姿勢変動による推定誤差の増加分0.30±0.12Lが, 総当たりで決定した最適補正値で0.03±0.05L, 各姿勢時の平均上体周囲長から導出した補正値で0.23±0.09Lへ向上した.