2020 年 25 巻 p. 113-124
腹圧性尿失禁は女性の典型的なQuality of Life (QOL) 疾患で, 咳やくしゃみをした際に腹圧が上昇することで予期しない尿漏れが生じるものである. 主に肥満や加齢, 出産による骨盤底筋 (PFM) の弛緩や損傷が原因とされており, 予防するためにはPFM強化が有効とされている. 既存のトレーニング方法として, Kegel体操などが提案されているが, トレーニング効果に個人差が存在するなどの問題がある. これを解決するために本研究では日常生活でとり得る11姿勢を定義し, 個人適合した筋骨格モデルを用いて各姿勢のPFM活動量計算を行うことで, 各個人に適したトレーニング姿勢を導出する方法を提案した. また各姿勢におけるPFM活動量の実測値と比較することで提案手法の評価を行った結果, 6名中3名の被験者で計算結果との正の相関が確認され, 本手法の妥当性が示唆された.