2020 年 25 巻 p. 179-193
神経系の障害である痙縮の発生メカニズムは必ずしも明確ではない. 本研究の目的は痙縮の特徴を再現する神経筋骨格モデルを構築し, その生体力学的特徴を明らかにすることである. ここでは2つのモデル, ひとつは座位姿勢で膝関節1自由度のみをもち, ペンドラムテストを模擬したモデル, もうひとつは全身筋骨格系を考慮し, 3次元の歩行運動を行うモデルをそれぞれ構築した. 痙縮モデルとして伸張反射における筋紡錘の感度特性変化や筋の弾性特性変化を考慮した. これらのモデルにより痙縮の特徴的な筋緊張などを表現することができた. さらに, 選択的後根切除術などの治療リハビリテーション過程についてもモデル化し, その効果を模擬できることを示した.