主催: NPO法人バイオフィリアリハビリテーション学会, 共催, NPO法人高齢市民が活躍するための社会技術研究会, 後援, 厚生労働省, 神奈川県, 藤沢市, 藤沢市教育委員会, 藤沢市社会福祉協議会, 慶應義塾大学環境情報学部, 公益財団法人テクノエイド協会, 公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会, 公益社団法人全国老人保健施設協会, 社団法人日本理学療法士協会, 社団法人日本作業療法士協会, 日本リハビリテーション工学協会, 日本生活支援工学会, 日本経済新聞社
p. 09
筆者は前職が藤沢市議会議員で,リハビリテーション(リハ)医学については門外漢であった.なぜ門外漢がリハ医学の再構築を志したのか,その実現は何をもたらすのかを,これまでの研究課題,論文,そして講演を振り返り,述べる.国民皆保険下,介護保険の要介護(要支援)者数は,2010年10月では500万人,2006年03月末の432万人から,68万人増加している.増加した皆さんはすべて,リハ医学に基づく治療を受けている.リハ医療を受けてその後要介護になっている.他方米国のメディケアを調査した報告では,1987年から1994年を通してリハビリテーション病院におけるメディケアの請求データを分析し,脊髄損傷,脳損傷,脳卒中,大腿骨骨折,関節炎や他の関節疾患は入院期間が延び,費用が増大していることが確認されている.筆者は,24年前にこの効果のないリハ医学再構築の研究を始めた.今日では50年もリハ医療の先駆者としてリハ医学に従事した福井圀彦医学博士が,"このままのリハ医療を続けても徒労である"と述べている.リハ医学会で,ある病院の例が報告された."リハ開始時のADLが低いものは, 改善評価で悪い傾向がみられ,年齢が65歳以上では入院時にくらべて改善せず悪い傾向がみられた"とした内容であった.こうしたことからも筆者は次世代に過度の負担を掛けずに社会を持続可能にするために,世界中で,"リハ医学の改革・リハ医学のリストラ"が必要と主張している.本論では,過去を振り返りながら,社会の在り様に対して,リハ医学をどのように変えるべきか,世界の人類と,わが国では団塊世代を中心に高齢者の生活に,どのような影響を与えうるのかを述べる.さらに具体的にどのようなリハを実施すべきかを示す.