主催: NPO法人バイオフィリア リハビリテーション学会, 横浜国立大学研究推進機構人機能再建のための工学支援研究拠点
共催: NPO法人高齢市民が活躍するための社会技術研究会
会議名: バイオフィリア リハビリテーション学会研究部会社会科学研究会
回次: 1
開催日: 2013/03/01 -
p. 717-768
現在日本は、高齢化が急速な勢いで進んでおり、それとともに要介護の高齢者数も増加の一途を辿っています.少子化も原因して、将来的な社会福祉関連の財政は破綻寸前であるとも危惧されています.
私たちはそのような社会情勢をただ看過するのではなく、実情を正しく見極め、適切な対策を講じるための基礎的な研究の必要性を思い、自立型社会の構築を目指していくつかの研究に取り組んでいます.
プログラム化したリハビリテーションの実施により高齢障害者の自立生活を可能にするため、そのリハビリテーションの効果に関し、歩行自立、生活自立の実際を明かにする研究や、その機序解明、また一層の機器開発を実施してきました.
その一環として、高齢障害者が自ら消費できることでの自立生活を可能にするため、高齢者や回復の可能性のある軽度痴呆高齢者に対する消費者問題や消費者教育に関する研究に取り組んでいます.
日本の労働人口は年間65万人減り、日本経済は今後50年間縮小し、世界経済に占める生産高の割合は現在の3分の1に落ち込むとの予測もあります.
我々は持続可能な高齢社会の構築のためには,高齢者による適切な消費が欠かせないと思慮しています.
我々の持つこの問題意識の重要性は認められ、平 成14年 度~平 成15年 度科学研究費「高齢者及び軽度痴呆高齢者の消費者教育の実際と将来像調査研究」の実施にいたりました.
高齢者の消費が増加することはよい影響を社会経済に与えると共に,生活にも好影響を与えます.
この研究では、高齢者や軽症痴呆高齢者にどのような消費者教育が行われているか,また必要なのかを調査しました.
医療面では、軽症痴呆患者への治療側面を持ったトレーニングも見られるようになりましたが、高齢者の消費に関する事故についての相談は近年増加しているにもかかわらず、満足な教育は行われておらず、その手法も見当たらないことがわかりました.
我々の研究の内容を報告し、もって社会経済の発展に資することができることは研究代表者として快欽とするところです.
また、我々はこの研究を契機に、今後どのような教育システムが必要なのか、また先進諸国ではどのような実態であるのかを含め、研究を続けていきたいと考えています.