Bird Research
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原著論文
岩手県沿岸部におけるミサゴの育雛期の食性
森 航大榊原 貴之野口 将之吉井 千晶東 淳樹
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2020 年 16 巻 p. A15-A24

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抄録

岩手県沿岸部におけるミサゴの給餌の実態を明らかにするため,2018年の育雛期に巣内観察カメラを設置し,その映像解析を行なった.魚種の同定,おおよその全長の測定,魚類の既存文献値をもとに湿重量の推定をした.2巣にカメラを設置した結果,両つがいともにダツ目の搬入回数が最多で,サバ科やアジ科,コイ科,ボラ科なども多く搬入された.推定湿重量ではサバ科とボラ科の値がそれぞれのつがいで最大となり,雛の成長に重要な餌資源であることが示唆された.これらの魚類は表層や浅瀬,流れが緩やかな環境に生息しているものが多く,表層を泳ぐ魚類を捕獲する本種の狩り行動の特性とも対応していた.ミサゴが搬入した魚類は特に海水魚で季節性が見られた一方,淡水域から沿岸域にかけて生息するウグイ属やフナ属のようなコイ科は育雛期間を通してミサゴの餌資源となっていた.また,両つがいで育雛後期にかけて給餌1回あたりの推定湿重量が有意に大きくなっていた.搬入された魚類の生息環境の特性から,湾内や河口部が主要な狩場であると推察される.災害復旧工事に伴う本種の採食環境の悪化が懸念される現在,推察された狩場への配慮が求められる.

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