2024 年 20 巻 p. A21-A32
日本における越冬期の鳥類相の変化とそれに影響する要因について,長期広域データを利用して検討した.また,繁殖期のデータと比較することで,越冬期と繁殖期の違いについても検討した.その結果,1980年代から2010年代にかけて,越冬期の鳥類は繁殖期の鳥類と比べてより分布を北側へと拡げていることが明らかになった.低温や積雪が分布の制限要因になると考えられる非森林性の地上採食の鳥類や,浅水域で採食する種,空中採食性の種は分布全体を北上させており,樹上,水中,海で採食する種も分布の北端を北上させていた.また,空中採食性の種は1980年代からの気温の上昇に合わせて分布を北上させていたが,地上採食性の種などそれ以外の種は気温の変化ほどには分布を北上させていなかった.これらの結果は越冬期の鳥類への気候変動の影響は繁殖期と異なっており,特に寒冷な気象により分布を制限されていた鳥類は分布を北へと拡大していることを示唆している.