2009 年 5 巻 p. S1-S5
カルガモの季節移動について調べるために,山梨県の大野調整池とその近隣河川において,年間を通してカルガモの個体数調査を行なった.調整池では,5月から 9月までの繁殖期にはカルガモは観察されたが,10月から翌年 4月までの越冬期にはほとんど観察されなかった.一方,河川では,カルガモの個体数は増減をくり返していたが,調整池ほどの越冬期の個体数の顕著な減少はみられなかった.調整池では,マガモやその他の越冬カモ類が多数観察されたが,河川ではほとんど観察されなかった.先行研究によりカルガモとマガモのあいだには著しい社会的干渉があることが報告されている.したがって,カルガモの越冬期の分布を決める要因として,その他のカモ類,とくにマガモなどの飛来個体数が関与している可能性が考えられる.