Bird Research
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テクニカルレポート
草原の鳥類のモニタリングにおけるスポットセンサス法の有効性
―ラインセンサス法との鳥の記録率の比較―
植田 睦之平野 敏明川崎 慎二黒沢 令子村濱 史郎青木 則幸今森 達也福田 佳弘馬田 勝義金井 裕
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2009 年 5 巻 p. T23-T32

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抄録

鳥類の生息状況のモニタリングにおけるスポットセンサスの有効性を検討するために,越冬期と繁殖期に各10か所の草原で,ラインセンサスとスポットセンサスによる,鳥の種数・個体数の把握状況の比較を行なった.その結果,有意な違いはないものの,越冬期・繁殖期ともにスポットセンサスの方がラインセンサスよりも記録率が高かった.記録された個体数は,越冬期・繁殖期ともにスポットセンサスとラインセンサスのあいだには有意な正の相関がみられた.スポットセンサスあるいはラインセンサスのみで記録された種の特性を見ると,草原性や草原/灌木性の種をスポットセンサスでしか記録できなかった例が多かった.以上の結果から,草原環境での鳥類の生息状況のモニタリングにおいてスポットセンサスはラインセンサスと同程度に,あるいはより効率的な方法と考えられた.

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© 2009 特定非営利活動法人バードリサーチ
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