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Bird Research
Vol. 6 (2010) P A29-A42

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http://doi.org/10.11211/birdresearch.6.A29

原著論文

渡良瀬遊水地に越冬するチュウヒ Circus spilonotus とハイイロチュウヒ C. cyaneus の個体数をモニタリングするために,1994年冬期から2009年冬期まで就塒調査を行なった.調査期間に,チュウヒは2~7か所,ハイイロチュウヒは1~4か所のねぐらで就塒した.両種とも,各ねぐらにおける就塒個体数は著しく変動した.これはヨシ刈りなどの人為的な撹乱や水位の変化などの環境の変化によるものと考えられた.ハイイロチュウヒのねぐらは,チュウヒと同様に,ヨシなどの高茎植物が疎らで,スゲ類などの下層植物が平均35cmの高さに繁茂する環境であった.しかし,就塒場所は両種の間で明確に別れていた.また.個体数の季節変動は両種で異なっていた.チュウヒでは越冬期初期の1月までに最多個体数が記録され,ハイイロチュウヒでは3月に最多個体数が記録された.16年間のチュウヒの平均最多個体数(±SD)は,30.44±6.90羽であった.一方,ハイイロチュウヒの14年間の平均最多個体数は,10.25±4.00羽であった.両種の個体数の間には有意な相関関係はなかった.調査期間中における就塒個体数の経年的な変動は,チュウヒでは2005年から2007年にかけて個体数指標が1.48から1.71に,ハイイロチュウヒでは2001年から2003年に個体数指標が1.86から2.14にそれぞれ変化した.チュウヒの個体数指標の年変化率は2.3%で増加傾向を示しているのに対し,ハイイロチュウヒの年変化率は-4.9%で,減少傾向にあった.現在,日本では本調査で得られた結果と比較できるこれら2種の長期的なモニタリング調査が行なわれていない.そのため,個体数の変動要因を解析できなかった.

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