風車との衝突事故(バードストライク)が多く確認されているオジロワシ Haliaeetus albicilla とほとんど確認されていないオオワシ H. pelagicus の飛行特性の違いについて,2007年から2009年にかけて北海道で調査を行なった.越冬期の飛行高度はオオワシの方がオジロワシよりも有意に高く,またバードストライクの危険性のある高さをオジロワシが多く飛んでいた.個体の飛行頻度もオジロワシの方が高かった.このことはオジロワシがオオワシよりもバードストライクにあう危険性が高いことを示している.また,秋の渡り個体と越冬個体を比べると渡り個体は飛行高度が高く,バードストライクの危険性のある高さをあまり飛んでいなかった.このことは,渡り個体の多くはバードストライクの危険性が低いことを示し,バードストライク対策を考える上では,留鳥や越冬個体など定着個体に重きを置くべきと考えられる.ただし,宗谷岬などの海を越えてきたばかりの場所や段丘の切れ目などでは飛行高度が低く,バードストライクの危険があるので注意が必要である.