桐生大学紀要
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自然蛍光検出法を用いたラット副腎褐色細胞腫(PC12)細胞から放出されるドーパミン量の測定
小林 葉子
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2014 年 24 巻 p. 111-116

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抄録

ラット副腎褐色細胞腫(PC12)細胞は,神経伝達物質であるドーパミン及びノルアドレナリンの合成・放出能 をもつ株化細胞である.ドーパミンはチロシンを前駆体として合成され,ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC), 3- メトキシチラミン(3MT),ホモバニリン酸(HVA)に代謝される.また,ドーパミンは自然蛍光を持つことも 知られている.本研究では,自然蛍光検出法を用いてPC12 細胞内外のドーパミン及びその代謝物量の最適な測定 系を検討した.  ドーパミン,セロトニン,及び,それらの代謝物は,高速液体クロマトグラフィーを用いて分離後,蛍光検出器 (HPLC-FL)を用いて検出した.励起波長 225 nm- 蛍光波長 310 nm の測定波長を用いた場合,ドーパミン,3MT, 及びHVA を測定することができ,一方,セロトニン及びその代謝物の影響を抑えることができた.ヘキサナール は,PC12 細胞からのドーパミン放出を促進する物質である.ヘキサナールでPC12 細胞を刺激し,細胞外ドーパ ミン,及び,その代謝物量を最適化した条件で測定した.そして,ヘキサナール刺激により細胞外に放出される ドーパミン量の増加,及び,細胞外 3MT 濃度の上昇を検出することができた.  今後,様々な条件下においたPC12 細胞内外のドーパミン及びその代謝物量を測定し,ヘキサナールによるドー パミン放出の生理的意義の解明につなげていきたい.

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© 2014 桐生大学・桐生大学短期大学部
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