桐生大学紀要
Online ISSN : 2435-7049
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成人慢性期看護過程演習の長期的学習効果
臨地実習後の学生の認識からの評価
小野 千沙子佐藤 栄子
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研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

2014 年 25 巻 p. 39-45

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抄録

A 大学看護学部3年次79名を対象に,2年次で実施した慢性期患者事例を用いた看護過程演習の臨地実習に対する 効果を検討するため,実習終了時に自記式質問紙調査を行った.74名の学生から回答を得た(回答率93.7%).看護 過程演習が実習で有用だったと認識していた学生は83.8% だった.看護過程演習の実習への有用性に関して,学生 が記述した内容の意味を反映するように要約,抽象化してコードを作成し,意味内容の類似性,相違性からカテゴ リーを作成した.学生の記載は【看護過程の展開方法】が最も多く,他に【慢性疾患やがんの患者の特徴や看護援 助の考え方】や【グループ学習の効果や重要性】などのカテゴリーが抽出できた.さらに実習終了時点での看護過 程演習の評価として,8割強の学生が看護過程演習は今後の実習や卒業後に役に立つ,8割弱の学生が演習は満足と 回答していた.したがって,看護過程演習の学習効果は,臨地実習においても認められることが示唆された.今後 の看護過程演習に対する改善意見内容では,【患者事例情報に既往歴や合併症を追加して個別性をだすこと】,【演 習方法の工夫】などのカテゴリーを抽出できた.今後は今回の学生の主観的評価だけでなく客観的評価も加え,慢 性期看護領域における,より効果的な看護過程演習の教授方法について,検討していく必要がある.

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© 2014 桐生大学・桐生大学短期大学部
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