2015 年 26 巻 p. 19-32
本論文は,「英語借用のカタカナ語」について,英語の品詞概念が借入後の日本語での品詞概念に影響するとの 仮定に基づき,「する」を付加されて日本語に借用される英語の日本語での語彙範疇を考察したものである. 筆者は,「コンサイスカタカナ語辞典」(第2 版,三省堂,2004)より,「する」を付加されて英語から借用した 402 語を抽出し,英語の品詞を,『プログレッシブ英和中辞典』(第4 版,小学館,2006)で確認し,10 のカテゴリーに分類した.それらの日本語での統語的特徴を観察し,英語借入語が日本語のどの品詞として扱われるべきかの考察を試みた. 結論として,『英語借用語のカタカナ語の「X する構造」「形容詞+ X 構造」「X をする構造」における「X」の日本語語彙範疇については,英語品詞の「動詞性」「名詞性」の影響を受け,「動詞性」「名詞性」を持った日本語動名詞としての統語的特徴を持つカタカナ語となる』とした.