2021 年 36 巻 p. 120-
小学校学習指導要領では,「自己の生き方を考える」といった記述が,キーワードの1つとして「道徳教育」「道徳科」「総合的な学習の時間」「特別活動」の各教科等における目標に見られる(文部科学省, 2018)。その目標の実現に向けては,「なぜ~するのか」「~とは何か」といった物事の意味を内省的に考えることが出発点になるだろう。例えば「なぜ学習をしなければならないのか」といった問いは,かねてから多くの児童が抱く典型の1つだが,こうした切実な,実存的な問いに自ら納得する答えを考えるということは,自己の生き方の見つめ直しへとつながる可能性がある。そうした点で,物事の意味を考える活動には,今日的な社会的意義があると思われる。