武道学研究
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研究資料
ギリシャ共和国における剣道の定着過程
—連盟設立から現在—
大野 伸行本多 壮太郎香田 郡秀窪田 健吾吉水 浩
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キーワード: 剣道, 国際普及, ギリシャ
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2011 年 43 巻 2 号 p. 2_13-2_24

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抄録

  他国における剣道の発展を支援する上で重要なことは,どのように剣道が行われているかを理解し,その国の状況に合わせた剣道発展の将来性を検討することである。本研究は,ギリシャにおける剣道の詳細と,Hellenic Kendo Iaido Naginata Federationがどのように成立し,現在までどのように発展してきたかに着目する。
 本研究の方法はHKINF関係者及びギリシャへの滞在経験を持つ日本人からのインタビュー及びE-Mail上での情報提供による。また European Kendo Federation の作成したEKF Newsletter内の加盟各国有段者名簿も使用した。
 1997年に Ioannis Papadimitriou氏はHKINFの設立へ向けて活動を始めた。連盟は1999年に正式に設立された。HKINFは2000年にEKFへ加盟し,2006年にはInternational Kendo Federationへ加盟した。
 HKINFには6つのクラブがあり,正規の会員数は122名,彼らの内32名が有段者である。毎年ギリシャでは,The All Greek Kendo Championships,Combat Sport Tournament Ioannou Eleni, Thessaloniki Kendo Cupの3つの剣道大会が行われている。また,ギリシャ代表チームは European Kendo ChampionshipsとWorld Kendo Championshipsへも出場した。加えて彼らはバルカン半島周辺地域を対象としたBalkan Kendo Cupへも参加している。
 HKINFの課題の一つは,指導者と審判員の育成である。もう一つの課題は人々に剣道への興味を継続させることである。これを実行するため,HKINFは自らの管理・運営能力を高め,指導者や審判員を養成するために積極的取り組みを行う必要がある。

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© 2011 日本武道学会
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