武道学研究
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大学柔道選手の階級別による基礎体力の因子構造の比較
中島 〓飯田 穎男松浦 義行武内 政幸田中 秀幸稲垣 敦上口 孝文
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1995 年 28 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

9大学の大学柔道選手351名を対象として形態計測,パフォーマンステスト10要素,29項目に関するI群(65kg以下級),II群(78kg以下級),III群(95kg以下級)・IV群(95kg超級)の下位標本に分類された資料のIV群について因子分析手法を用い,その構造を比較検討した結果次のような結論が得られた。
1)IV群とも体格(長育,幅量育),静的筋力で代表される要素がここでとりあげた測定項目で測定された基礎運動能力の全体に対する貢献度が高かった。
2)静的筋力,平衡性要素は代表される項目が階級によって同一因子で抽出されず構造に差異が見られた。とくにI群についてその傾向が見られた。
3)基礎体力の因子構造としては,I群とIV群間においてその差異が認められる傾向があった。
4)長育,幅量育については,全群に共通して同一因子で抽出され、能力領域としてのそれぞれの能力は,各階級とも対応し高い類似性を示していて,これらは大学柔道選手の基礎体力を説明する最も重要な要素である。
5)静的筋力及び,静的・動的平衡性は,全ての階級に同一因子で抽出されたが,I群は,他の群とは能力領域としての差異が見られた。
6)敏捷性と後屈柔軟性は,I群,II群,III群において同一因子で抽出され,それらの類似性は静的筋力と静的・動的平衡性でみられたものに類似していた。
7)前屈,後屈柔軟性は,II群,III群,IV群において同一因子が抽出され,それらは敏捷性及び,後屈柔軟性でみられたものと類似していた。
8)瞬発力の連続発揮の能力は,II群及び,IV群のみに高い類似性をしめしていた。しかし,柔道選手の基礎体力を推定するのに最も重要な要素であるので,何故この2つの階級のみに抽出されたかについては,今後の研究課題としたい。
9)I群においては,スピード,下肢の瞬発力及び,幅量育が抽出されたが他の階級においては抽出されなかった。I群とその他の階級との間に差異がみられた。なお,この研究の一部は,1992年スペインのマラガにて行われたオリンピック科学会議に発表した。

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