地質調査研究報告
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論文
MT法による阿武隈地域の深部比抵抗構造解析
内田 利弘
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2004 年 55 巻 11-12 号 p. 417-422

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抄録

福島県阿武隈地域で取得された地磁気地電流法(MT 法)データについて2次元インバージョンによる解析を行った.MT法測線はほぼ東西方向であり,測線長は約50 km,福島県中央部の本宮町付近から太平洋岸の浪江町付近に及ぶ.測線の大部分は中生代の花崗岩地域に位置している.2次元解析によって得られた比抵抗構造モデルによると,測線の全域にわたり,1,000~10,000 ohm-mの高比抵抗の地層が卓越することがわかる.測線の東端の浅部には,第三紀及び第四紀の堆積岩に相当する低比抵抗層が得られた.下部地殻に相当する深さ約15 km以上は数百ohm-mの比較的に低比抵抗な地層になっている.しかし,東北地方の火山フロント外帯のうち,宮城県北部等で得られている深部地殻の非常に低比抵抗な地層に比べると,阿武隈地域の深部地殻はかなり比抵抗が高く,熱や熱水活動の影響を余り受けていないものと考えられる.

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© 2004 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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