抄録
九州中央部泉村-砥用町地域の“黒瀬川帯”の蛇紋岩メランジュには,しばしば単斜輝石岩が含まれ,大きなものでは岩体の長径が2 kmに及ぶ.単斜輝石岩は透輝石からなり,少量のかんらん石起源と思われる蛇紋石を含む.この単斜輝石岩を構成する輝石の大きさは数mm~1 cmが多いが,1個所だけ10 cmに達するものもある.それには裂開 (parting)が発達し,異剥石の鉱物標本として重要である.一般に結晶が大きくなると裂開が発達する.鏡下で見ると透輝石の裂開にそって,また透輝石の間に透角閃石ができている. 電子線マイクロプローブ(EPMA)で主成分分析をしたが,岩体による差異はない.また,“黒瀬川帯”の他地域の単斜輝石岩の単斜輝石と比較しても,化学組成に差異はない. 蛇紋岩メランジュ中のはんれい岩の角閃石のK-Ar年代は370±19 Maである.この年代は“黒瀬川帯”の蛇紋岩メランジュを構成する超苦鉄質岩-苦鉄質岩の年代の検討にとって重要である.