地質調査研究報告
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富士火山南山腹のスコリア丘トレンチ調査による山腹噴火履歴
高田 亮小林 淳
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2007 年 57 巻 11-12 号 p. 329-356

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抄録

富士火山南山腹で山腹噴火の活動履歴を明らかにするために,トレンチ調査を試みた.スコリア丘山頂でのトレンチ調査が,山腹噴火の活動履歴の高精度化に極めて有効であった.本トレンチ調査により,これまでテフラ層序の確立が困難であった富士火山南山腹の鍵テフラの層序が明らかとなった.この鍵層を使って,山腹噴火の活動履歴を復元した.Yu-2 に覆われない山腹噴火は須山胎内溶岩,南ガラン塚,大淵スコリア,小天狗溶岩である.大淵スコリアの給源は,従来考えられた高鉢山でなく,北高鉢付近にあることが明らかになった.Yu-2 と S-10 に挟まれる山腹噴火は,浅黄塚,高山,腰切塚である. S-10 と F3 に挟まれる山腹噴火は,白塚のみである.F2 と鬼界アカホヤテフラ(K-Ah)降灰層準に挟まれる山腹噴火は,東臼塚と,それよりやや下位と思われる平塚である. K-Ah の降灰層準付近に, 活動したと思われる山腹噴火は,檜塚と西臼塚である.K-Ah の降灰層準より下に位置する山腹噴火は,北高鉢,高鉢山,北東高鉢,黒塚,アザミ塚である.

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© 2007 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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