2008 年 59 巻 5-6 号 p. 203-210
御岳火山の歴史時代の噴火記録として西暦774及び1892年の記録の存在が指摘されていたが,典拠とされていた文献を再調査した結果,それら噴火は存在しないことが明らかとなった.18世紀末からの宗教登山の活発化を考慮すると,18世紀末から1979年噴火までの間,噴火はなかった可能性が高い.史料に基づくと御嶽山山頂部の地獄谷において少なくとも18世紀半ばより噴気活動が継続していたが,1979年噴火の後,地獄谷の他に八丁タルミにおいても噴気活動が起こるようになった.また,1991,2007年には八丁タルミの噴気孔から小規模な火山灰放出(微噴火)が起きている.そのため,1979年噴火以降の御岳火山の火山活動は,最近の250年間において最も活発であると考えられる.