地質調査研究報告
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論文
東北日本,男鹿半島門前層層序の再検討
小林 紀彦大口 健志鹿野 和彦
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2008 年 59 巻 5-6 号 p. 211-224

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抄録

 門前層は男鹿市門前から赤島に至る海岸を模式地とし,赤島層の上位にあって野村川層もしくは台島層に覆われる火山岩主体の地層として位置づけられる.下位の赤島層とは断層で接し,上位の野村川層・台島層とは不整合関係にある.地表に露出する門前層は,火山岩の岩相の組み合わせとそれらの空間的広がりから互いに識別し得る地質単元として,下位から順に舞台島玄武岩,竜ヶ島デイサイト,長楽寺砂礫岩,長楽寺玄武岩,長崎デイサイト,毛無山安山岩,真山流紋岩に区分できる.そのうち,長楽寺砂礫岩と長楽寺玄武岩は一部指交関係にある.これらの主体をなす火山岩は,沈降しつつある水域または水域に面した陸上に34~36 Ma の範囲内の極めて短時間に噴出し,互いに重なり合ういくつかの火山体を形成した.門前層から読み取れるこのような地質過程は,日本海拡大の前触れとも考えられる.しかし,門前層と上位の台島層との間に一千万年を超える時間間隙が存在しており,22~20 Ma 以降活発になる日本海拡大との関係については更に地域を広げて検討する必要がある.

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© 2008 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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