地質調査研究報告
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論文
西南日本,山陰地方,島根県東部地域における古第三紀花崗岩類の化学組成
石原 舜三Bruce W. Chappell
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2008 年 59 巻 5-6 号 p. 225-254

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抄録

 島根県東部の大東-横田-小馬木地域の磁鉄鉱系花崗岩類の主成分と微量成分存在量を明らかにし,中部地方領家帯のチタン鉄鉱系花崗岩類と比較しモリブデン鉱化作用との関連性を追及した.標記の花崗岩類はバソリス状に分布する粗粒の花崗閃緑岩と花崗岩,ルーフ岩石付近の細粒花崗岩類に二大別される.後者は更に,雑家型・川井型・蓮花寺型・鉱化優白花崗岩類・山佐型・下久野型・大内谷花崗斑岩に分けられる.これら花崗岩類は中部地方の領家花崗岩類と比較して,以下の多くの成分:A/CNK,Ga,Ga x 10000/A,K2O,Rb,Ba,Pb,CaO,Fe2O3,Zn,Y,La,Ceに乏しく,Na2O,MgO,V,Uなどに富んでいる.以上の性質は島根県東部の花崗岩類がAl2O3,K2O,REE,炭質物などに乏しい深所の火成岩起源物質に由来することを示している.斑れい岩類の一部にはアダカイト質の性質が認められ,スラブ溶融の可能性が推察される.
 蓮花寺型の北西縁には小規模に変成岩が産出し,金成ホルンフェルスは一部に頁岩を挟む砂岩質の変成岩類と考えられる.磨石山ホルンフェルスはA/CNKは高いが,K2Oは一般的な値を示し,S,Cu,Pb,Zn,MnOなどの堆積性鉱化成分に富み,かつ磁鉄鉱を含む.したがって,有機炭素に乏しい頁岩を挟む中性~酸性の凝灰質堆積岩がその原岩と考えられる.蓮花寺古期花崗岩類はK2O > Na2Oであり,La,Ce,Y,Nb,Th,Uに富み,親石元素が多い起源物質に由来する性格を持っている.主要なモリブデン鉱床を胚胎する川井混交岩(大東)・蓮花寺-優白花崗岩類(清久-東山)・山佐優白花崗岩(山佐)などは,平均2.0~6.3 ppm Moを示し,他の花崗岩類や山陽タングステン鉱床区の花崗岩類よりも高い.したがって新鮮な花崗岩の微量成分としてのMoは探査指標として利用可能である.

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© 2008 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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