地質調査研究報告
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関東平野中央部,埼玉県菖蒲町で掘削された350 mボーリングコア(GS-SB-1)の層相と堆積物物性
山口 正秋水野 清秀納谷 友規本郷 美佐緒中里 裕臣中澤 努
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2009 年 60 巻 3-4 号 p. 147-197

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抄録

 関東平野中央部,埼玉県菖蒲町で掘削された深度350 mボーリングについて,コア(菖蒲コア:GSSB-1)の層相記載と14C 年代測定,テフラ,密度,帯磁率,弾性波速度,自然電位,電気比抵抗の各分析・測定を行った.菖蒲コアは12枚の砂礫層とそれに挟まれた砂層及び泥層からなり,層相の連続性をもとに69のユニットに分けることができる(上位よりユニット1~69).菖蒲コアには39 層準にテフラが挟まれている.このうち深度10.90 mのテフラは御岳Pm-1(ca.100ka)に,深度182.87 mのテフラはKs5(酸素同位体ステージ12の時期に降灰)にそれぞれ対比される可能性が高い.コアの層相と納谷ほか(2009)の珪藻分析結果を総合的に検討し,9層準の海成層(上位よりM1~M9)の分布深度を示した.14C年代値やテフラの対比等から,ユニット1(深度0.50~1.82 m)は沖積層に,ユニット5(深度9.76~10.90 m)は大宮層の一部に,またユニット29~31(深度138.73~164.95 m)にみられる海成層(M4)は地蔵堂層の一部に対比される.また上総層群と下総層群は層相ではその境界を判別することができないが,テフラと海成層の層序学的な関係から,両者の境界は深度165~183 mの間に位置すると考えられる.

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© 2009 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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