2010 年 61 巻 7-8 号 p. 233-243
浅間火山では2009年28月2日午前1時51分から午前8時にかけて小規模な噴火が発生した.この噴火による降灰域は南東方向に広がり,秩父市,羽村市,府中市,稲城市,川崎市,横浜市などに及び房総半島まで達した.我々は,埼玉県,東京都,神奈川県においてアンケート調査を行ない,この噴火の降灰域・降灰量を明らかにした.その結果を現地調査の結果とあわせて解析すると,1 g/m2以上の降灰量があると,ほとんどの人は降灰を認識していたことが明らかとなった.しかし,降灰量1 g/m2未満の地域においては,しばしば降灰に気づかない例が認められた.また,降灰量が判明している地点の写真との比較を基に降灰量を答えてもらう質問によって,半定量的な降灰量調査が行えることが示された.つまり野外調査による降灰量調査をアンケート調査によって補完することで,より広域で正確な降灰分布・量の調査が行える.