2010 年 61 巻 7-8 号 p. 289-299
2003年宮城県北部の地震の震源域北西部で,2005年と2008年に反射法地震探査を実施した.2008年に実施した南方の測線の断面図では石巻湾断層が明瞭に見られた.しかしながら,2005年に実施した北方の測線の断面図には,明瞭には見られなかった.2回の調査の諸元はほとんど同じである.しかしながら,断層の明瞭度の違いは,両者のわずかな違い,最大重合数やスイープ周波数の違いに起因している可能性がある.また,浅部の凝灰岩の厚さに起因している可能性もある.更に,断層面の本質的な不均質,例えば,地震波速度の不均質や断層破砕帯の幅の不均質に起因している可能性もある.