地質調査研究報告
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富山県南砺市法林寺地区のボーリングコアにおける火山ガラスを含む 大山倉吉テフラ(DKP)の認定とその北陸地域の活断層の活動性評価における意義
丸山 正齋藤 勝
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2014 年 65 巻 1-2 号 p. 1-9

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抄録

北陸地域でこれまでに確認されている大山倉吉テフラ(DKP)については,重鉱物の屈折率が報告されている一方,火山ガラスは風化変質により粘土化しているため屈なんとほうりんじ折率が報告されていなかった.富山県南砺市法林寺地区 において採取されたボーリングコア中に新鮮な火山ガラスを多数含む軽石質テフラが検出された.この軽石質テフラの火山ガラス,斜方輝石及び普通角閃石の屈折率は,いずれも給源地付近でのDKPの値とほぼ一致している.北陸地域におけるDKPの火山ガラスの屈折率が初めて明らかにされたことにより,DKPの同定がより確実になった.さらにDKPが挟在する有機質シルト層の花粉分析により,海洋酸素同位体ステージ(MIS)3を示唆する植生相が認められた.火山ガラスを含むDKPは法林寺断層の下盤側(低下側)の砺波平野地下から検出された.砺波平野をはじめ北陸地域の盆地を限る活断層の下盤側断層近傍では,DKPが広く保存されている可能性がある.同テフラを指標として,断層両側におけるMIS 3の段丘面及び同面を構成する地層の分布高度を明らかにすることにより,下盤側の埋積による影響も考慮した過去およそ5.5 万年前以降の長期的な正確な把握が可能になると期待される.

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© 2014 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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