地質調査研究報告
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ガラスビード試料を用いたレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析計(LA-ICP-MS) による全岩微量元素分析
山崎 徹山下 康平
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2016 年 67 巻 1 号 p. 27-40

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抄録

XRF分析用の高希釈ガラスビード(試料・融剤比1:10)を用いて,レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析計(LA-ICP-MS)によって,45Scから238Uまでの質量範囲をカバーする全岩微量元素測定を行う簡便な手法を構築した.地質調査総合センター岩石標準試料のガラスビードを用いて,5回の繰り返し測定によるシグナル・カウントの相対標準偏差(RSD)を繰り返し測定精度として検討した結果,著しく含有量の乏しい元素を除いて概ねRSD < 30%であった.標準値との比較においては,JB-2,JA-1,JR-1,JGb-1及び JG-1aの5試料において測定した延べ225 元素のうち194 元素(約85%) において,差が一般的に定量分析における精度の許容範囲の目安とされている30 % 以下であった.標準値との差が30 % 以上であった試料・元素のほとんどは,含有量が乏しいものであった.JB-1bの測定結果は既存のLA-ICP-MSによる測定値とよく一致し,本手法による分析結果は十分に岩石学的・地球化学的議論に使用可能であることを示す.

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© 2016 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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