2016 年 67 巻 6 号 p. 183-208
福島県会津盆地における16地点において,地下水位及び地下水温の連続観測を行った.市街地付近での冬季の消雪用井戸の稼働によって低下した地下水位は,夏季に向かい回復するが,深層においては必ずしも前年の地下水位まで回復しない地点もある.このような地点では水収支がマイナスになっていると推察される.深井戸での地下水温は,年々低下する地点がみられた.この理由は冬季に深井戸の地下水位が低下したことにより浅層部の地下水を下方へ引き込んでいるためと推定される.地下水温は熱伝導の影響だけではなく,揚水により誘発された地下水流動の影響も受けている可能性が考えられる.