地質調査研究報告
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1944年東南海地震及び1946年南海地震時の海水位変化を利用した 紀伊半島沿岸部における上下変動時系列の推定
梅田 康弘板場 智史
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2018 年 69 巻 2 号 p. 81-89

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抄録

紀伊半島沿岸部における国土地理院の水準測量時期は1930年前後と1947年であり,1944年東南海地震及び1946年南海地震の直前のデータは無いため,それぞれの地震による変動を分離できない.一方,水路局では精度は劣るものの両地震時の上下変動を海水位の変化から調査している.これら2機関による2種類のデータを組み合わせることによって,紀伊半島沿岸部における両地震前後の上下変動時系列を求め,それぞれの地震による変動を分離した.紀伊半島東南部では1944年東南海地震で沈降し,その後も1946年南海地震前までは沈降が継続していたこと,1946年南海地震では1944年の地震とそれに続く沈降量に匹敵する程度の隆起があったことがわかった.また,串本では1946年南海地震の津波により検潮所が倒壊し,潮位データが繋がっていなかったが,年平均潮位データから平均海面の長期変化を補正して推定した上下変動を,水準測量から得られた上下変動に重ね合わせ,繋がりのある上下変動時系列を求めた.

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© 2018 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
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